発達障害者支援地域協議会委員に選任されました
2017年6月23日
千葉県の「発達障害者支援地域協議会委員」に司法関係者の1人として選任されました。
こうした千葉県の政策形成に携わる機会をいただいたのは初めてです。
私が「発達障害者支援地域協議会委員」に選任されたのは,刑事事件の分野における福祉関係者とのつながりがあったからだと思われます。
私は,毎年1~2件,自閉症など発達障害のある方の刑事事件を経験しています。
その事件の多くは,発達障害のある方の特性に基づくある行動が社会のルールに触れ,過剰に危険視されてしまう,というものです。
私が経験したある事件では,「丸くて柔らかい物」にこだわりのある女性が,路上で,他の女性の胸を突然触ってしまったという強制わいせつ事件がありました。
発達障害のある方の特性の1つの現れとして,ある特定の事柄にだけ極めて強い興味・関心を抱くということがあり,この事件もそのような特性の影響によるものでした。
しかし,このような事件において,本人には,多くの場合,他者に対する悪意や利欲の意図はありません。
また,本人に悪意や利欲の意図がありませんから,一見危険に見えても,結果として他者に重大な損害を負わせるようなことにはなりにくいのも特徴です。
私はこのような事件に遭うたびに,これは,本人が手錠をかけられ,長い間留置場に閉じ込められるようなことなのか,と悲しい気持ちになってしまいます。
もちろん危険な行為に遭遇した被害者の方のご心痛は甚大であり,社会として危険な行為を易々と容認することもできないのは当然です。
しかし,長い間身体拘束をしても,刑事罰を科しても,何も解決しません。
私は常々,刑事事件を契機とした本人に対する教育的な関わりこそが重要であると考えています。
今回,「発達障害者支援地域協議会委員」に選任されたことで,上記のような教育的関わりを可能にする仕組みについて,千葉県に提言できればと思っています。
弁護士 遠藤直也